12/27/2012 Thu 19:28 |
犠牲祭のマンサフ(ヨルダン料理)とお正月のお雑煮(日本料理)
もういくつ寝ると お正月~
お正月といえば、お雑煮。 みなさんの地域では、どんなお雑煮を食べますか? 以下は、神奈川県相模原市のお雑煮を初めて食べたときの感想です。 「餅の形は、丸じゃなくて四角!焼いたおもち? 昆布だしのすまし汁・・・これが、お雑煮なの?」 私が小さい頃、岡山で食べてきたお雑煮と、 神奈川県でいただいたお雑煮は、形も味も調理法も異なります。 その後2009年、開発教育の研究をされている方から、 「全国の家庭雑煮アンケートに協力してほしい」という依頼があり、 お雑煮のエピソードや具材の意味を、祖父母から聴きました。 ![]() お雑煮にまつわるエピソード(提出情報から) 「祖父母の家は岡山県の県北、新見市にあります。 中国山地の麓に位置していて、市内を離れると、 藁ぶき屋根の家が残っていたりします。 90年くらい前から、この味付けが伝わっているようです。 60年くらい前は、その地域に海苔を売りに来る 行商のおばあさんが、祖父母の家に泊まっていたようです。 その海苔は貴重で高いという話でした。 30年から20年前、私が小さい頃、祖父母の家で親戚があつまって、 正月の元旦に、このお雑煮を食べて新しい年の一年を迎えました。 県北で山の中、海の幸たっぷりのお雑煮というのは、 ちょっと不思議かもしれませんが、 私にとって、これがなくては、新しい一年間が始まりません。」 ![]() 神奈川のすまし汁、焼いた角もちお雑煮に驚いた私。 その後、もっとカルチャーショックを受けた町は、 岡山市から瀬戸大橋を超え、車で一時間の香川県高松市。 香川のお雑煮は、あんこの入った丸餅に、味は白みそ仕立てでした。 私のお雑煮は、岡山のブリでだしをとった丸もちのお雑煮。 香川のあん入りもちや、神奈川の焼いた角もちは、 「お正月が来た!」という感じはしません。 この感覚は、美味しいとかマズいという話ではないのかも。 子供時代のお正月の思い出や祖父母や親せきの愛が ブリの出し汁と丸いおもちにつまっている。 「お正月がきた!」と、DNAにしみ込んでいる感じです。 じゃぁ、香川のあん入りお雑煮や、神奈川の焼いた角もちが ダメかといったら、そうではないのです。 だって、他県の人にとっても、私の雑煮に対する思いと同じくらい、 その土地や家庭に根差したお雑煮を愛しているのですから。 そういうわけで、全国各地のお雑煮は、 「違い」はあるけど、「ダメ」じゃない。 どこの地域のお雑煮も違いがあり、それぞれ美味しくNO1。 お雑煮といえば、ヨルダンのマンサフ。 マンサフは、ジャミードという固形ヨーグルトで羊肉を煮込み、 その煮込み汁で米を焚き、炊き上がった米の上に煮込んだ 羊肉をのせるヨルダンのおもてなし料理です。 結婚式や、祝い事などでも良く食べられます。 マンサフにも、お雑煮のように、 「私の町の、私の手料理が一番」という熱い思いがあります。 ![]() 以前、北部の町マフラックでマンサフをいただいた時、 「マンサフって、カラク(南部都市)が一番おいしいんでしょう?」 なんてコメントしたもんだから、いやぁ、もう大変・・・。 そんな、ヨルダンの自慢料理マンサフですが、 初めて食べる日本人にとっては、 「ごはんにヨーグルト?なんじゃそりゃ?」の世界です。 ![]() ヨルダン人の家庭で作られた、自慢のおもてなし料理こそ世界一。 中でも、「うち」のマンサフが一番。 私にとって、祖母や母が作るおせち料理やお雑煮がNO1。 日本料理が世界一。 ヨルダンのマンサフがダメかといったら、そうではない。 ヨルダンのマンサフに対する愛と誇りを知っているからこそ、 ヨルダンのマンサフも最高!アラブ料理も素晴らしい! 帰国後、日本のTVで中国や韓国のことを あれこれと批判する報道が多く、正直まいってしまいました。 もし、自分の故郷、自分自身に自信があったら、 もし、自分の育った場所や食べ物に思いがあるのなら、 もし、自分の国に生きる人たちのことを、信頼していたら、 近所や他人のことを、ケチョンケチョンに叩かないと思うのですが。 ![]() その土地に根差す食文化に 誇りがある、 代々受け継がれてきた文化・ 風習も大切にしたい。 だから、 他国や他地域の人たちの思いもよくわかる。 日本料理と同じように、ヨルダン料理は素晴らしい。 中華や韓国料理、アフリカの料理も尊重したい。 岡山新見のお雑煮と同じように、 香川や神奈川のお雑煮も、家庭の愛がつまっている。 そういう感覚を、これからも大切にしていきたい。 さぁ、もういくつ寝ると、お正月。 今年も、お世話になりました。 皆さま、よいお年を。 「食」に関する関連時期 「犠牲祭がやってきた」2011年11月6日記事 「羊さまのお通りだ」2012年7月1日記事 「ヨルダンでウサギを食す」2012年9月11日記事 「干し柿となつめやし」2011年12月5日 「所変われば味覚も変わる」ウガンダの食事 今回の記事は、岡山大学教育学部で行われた 免許状更新制の講義を聴きながら、思い出した内容です。 岡山大学の先生方、お疲れさまでした。 ![]() にほんブログ村 |
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